2010年08月08日

Charness and Kuhn (2010) "Lab Labor:..."の目次を作ってみた

実験労働経済学の全貌を知りたいと思い、

Charness and Kuhn(2010) "Lab Labor: What Can Labor Economists Learn from the Lab?" NBER Working Paper No. 15913

を読もうとしたのですが、大変分量が多く、この文の全貌が掴めなかったので、目次を作ってみました。(これでも長い!笑)この分野に関心のある方は、一読してみて、興味のあるところだけ読んでみてはいかがでしょうか。広義の「労働経済学」なので、組織の経済学・契約理論の実験も含まれています。

簡単に要約すると、Iは実験の意義、IIは実験デザインについて、IIIは基本的実験のサーベイ、IVは従来の経済理論とは異なる"Behavial"な結果について、Vが応用トピック、という流れです。

続きを読む
posted by とも at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月31日

相対評価で報酬が決まる場合、「足の引っ張り合い」は起きるか?―Real Effort Experimentによる検証―Carpenter et al.(2010 AER)

Carpenter, Matthews and Schirm(2010) "Tournaments and Office Politics: Evidence from a Real Effort Experiment" American Economic Review


ある職場で、成績が1位であったら、ボーナスが与えられるとしよう。あなたは何をするだろうか?1つは純粋に仕事を頑張る、という手段。非常に素晴らしいことである。しかし他にも手段がある。相対評価であるから、相手の評価を落とすことができれば昇進の可能性は高くなる。人の手柄を自分のものにしたり、悪い噂を流したり、手段はいろいろ考えられる。


本論文は、このような相対評価によるインセンティブがあり、かつ相手を妨害できるような状況における実験室実験を行ったものである。実験室で被験者は、手紙を印刷し、宛名を書いた封筒に入れるという仕事を行う。労働経済/組織の経済学の実験で、このように実際に仕事を行わせる実験を"Real Effort Experiment"と呼ぶ。(対して、CostのかかるEffort Levelを選ぶことで、仕事をしたとみなす実験を"Monetary Effort Experiment"と呼ぶ。)


Treatment(実験の設定)は3種類、「歩合給」「歩合給+トーナメント」「歩合給+トーナメント+妨害が可能(被験者同士で評価を行う)」である。結果として、歩合給よりも「+トーナメント」のほうが生産性が高くなるが、妨害が可能になると、歩合給のときよりも生産性が低くなってしまうことがわかった。これによって、妨害が発生してしまうような職場環境では、相対評価による競争(例えば昇進競争)はdisincentiveとなってしまう可能性がある、というインプリケーションが得られる。


続きでは実験の詳細を書きます。

続きを読む
posted by とも at 00:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月25日

IT導入は公共セクターの生産性を上げるか?ー「組織」も合わせて変える必要ありー Garicano and Heaton(2010 JLE)

Garicano and Heaton(2010) "Information Technology, Organization, and Productiovity in the Public Sector: Evidence from Police Departments" Journal of Labor Economics


本研究は、アメリカの警察署のパネルデータを用いて、公共セクターにおけるIT(情報技術)が生産性をあげたかどうかを検証する論文である。ここで言う「IT」とは、コンピュータによる犯罪分析や調査、及び出動に関するシステム、また犯罪歴や交通規制など各種データベースの利用である。


本論文では「生産性」の指標として、主に検挙率(検挙数/通報数)及び犯罪率(犯罪発生数/人口)を用いる。(なお論文発表では、特に検挙率に関しては恣意的に操作できるのではないか、とのコメントがあった。)


まず、「生産性」を「IT利用度」と署や地域の各種データに回帰したところ、「IT利用度」は検挙率には有意な値をとらず、犯罪率には正の影響が出てしまった。この結果は、様々なRobustness checkをしても概ね変わらなかった。(例えば、IT利用によって単に記録がつけやすくなって「犯罪数」が増える、という結果が得られたが、その効果は全体には影響を及ぼさなかった。)


ここで、ITは組織形態の変化など経営慣行の変化を伴わない生産性が上がらないという、補完性仮説(Milgrom and Roberts 1990)を考える。先ほどの回帰に組織の階層数、専門スタッフの数、学歴の要件、訓練時間などを加えると、犯罪率の有意性はなくなった。


さらに、IT利用度に変えて「IT利用度、専門的組織の数、技術水準」のすべてがそろったとき1をとる、「『現代的組織』の指標」を用いると、この指標は犯罪率に負の有意な値を持った。(同様の分析を他のデータセットを用いて、さらに検挙率が正に有意となるような結果を得ている。)


まとめると、ITによって生産性を上げるには、それ単体では意味はなく、専門的組織の設置、スタッフのskill levelの上昇など、組織形態の変更を「全面的に」伴わなければならない、ということである。これは教育・医療など、IT導入が遅れているとされる分野での導入に際し重要な示唆を持つだろう。


posted by とも at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月22日

東京財団の労働政策提言の問題点

先日、東京財団から「新時代の日本的雇用政策〜世界一質の高い労働を目指して〜」と題する政策提言が発表された (pdf) 。また、同提言の要約は3/19付の日経新聞「経済教室」にも掲載された。この提言は「最近の経済学の研究成果も踏まえ」ていると言う。しかしながら、この研究成果の引用は誤っており、恣意的に結果を伝えている、と言わざるをえない。また、全体のロジックも不明瞭であり、まだ経済学からはサポートされていないことが多い。この問題について述べていこうと思う。


今回注目するのは、最低賃金の章である。。見た限り、最新の経済学の成果が反映されているのはこの章だけである。提言の内容を、経済教室(4ー5段目)より引用する。


(引用始)
 …だが最低賃金引き上げも、工夫次第で生産性向上へのインセンティブとして機能させることができる。確かに教科書的な経済理論では、最低賃金引き上げは雇用の消滅をもたらす「禁じ手」である。しかし、労働経済学の最新の実証研究は、最低賃金の上昇は必ずしも雇用を消滅させないことを示している。
 例えば青森県の最低賃金は、1994年の528円から2003年には605円に上昇した。その結果、時給605円未満の雇用は失われたが、それとほぼ同量の雇用が605円ぎりぎりの水準で増えたことがわかっている。
 最低賃金が上昇しても、それ以下の賃金の労働者が携わっていた仕事自体が消えるわけではない。その労働者を解雇する代わりに、それまでの仕事に加え、賃金上昇分の仕事もこなすよう訓練することもできる。職務という観念が薄く、労働の代替性が高い日本では、まさにこのようにして雇用が維持されてきたと考えられるのである。
 このことは、最低賃金の引き上げが、教育訓練や設備投資を促し、生産性を高めるインセンティブとして働く可能性を示唆する。…
(引用終)


ポイントは3点。

 1.教科書的な経済理論では、最低賃金引き上げは雇用の消滅をもたらす。
 2.労働経済学の最新研究は、最低賃金の上昇は必ずしも雇用を消滅させないことを示している。
 3.最低賃金の引き上げが、教育訓練や設備投資を促す可能性がある。

一点ずつコメントをしていく。


<1.教科書的な経済理論では、最低賃金引き上げは雇用の消滅をもたらす。>

これは誤解されがちなことではあるが、ミスリーディングである。完全競争市場の仮定が労働市場で成り立つならば、最低賃金が雇用の消滅をもたらす、という理論が成り立つ。しかし、完全競争市場の仮定が成り立たない場合においては必ずしもそうではない。

完全競争から外れた場合、特にこの文脈でいうと「買手独占」(労働の買手、つまり企業が少数しかいない)が発生している場合、最低賃金の上昇が雇用量を増加させる可能性がある、ということが理論的に言える。これは労働経済学の教科書(例えば Boeri and Ours)にも載っている知識である。完全競争市場だけを扱うのが「経済学の教科書」ではない。


<2.労働経済学の最新研究は、最低賃金の上昇は必ずしも雇用を消滅させないことを示している。>

引用されている「最新研究」とは、以下の論文である。

Kambayashi, Kawaguchi and Yamada "The Minimum Wage in a Deflationary Economy: The Japanese Experience, 1994−2003" pdf

重要なのは、この論文は「最低賃金の上昇は雇用の消滅させない」ということを実証しているわけではない、という点である。むしろ、abstractにも明確に「The steady increases in the effective minimum wage reduced employment among low-skilled female workers」と書いており、最低賃金の上昇が低スキル・中年女性の雇用を消滅させたことが示されている。

提言では、論文中の青森県と東京都の賃金分布の図を用い(p11)、新しい最低賃金未満の雇用が消滅したが、それと同量の雇用が新しい最低賃金付近に生まれたと主張する。確かに新最賃未満の雇用は消滅し、新最賃付近の雇用は生まれている。しかし、それが「同量である」とまで言えるかどうかはわからないし、引用論文ではこの点について増えたかどうかについては述べられていない。

引用論文では、全ての県のデータを用い、かつ他の要因も考慮した上で、低スキル・中程度の年齢の女性労働者の雇用が失われたことを示している。とにかく、「最賃の上昇は雇用を消滅させない」とは述べてはいないのである。

注1:また、確かに男性労働者など雇用量が変わっていないと考えられる層もいるが、これはこの期間における実証分析であり、今後最賃を上昇させて雇用が失われない、とまで言うことはできない。

注2:引用論文に限らず、最低賃金に関する実証論文は国内国外多数存在し、その効果について安定した結果は得られていない。(雇用を消滅させるとするものも、雇用量を変えないとするものもある。)これについては例えば http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/09090901.pdf を参照していただきたい。


<3.最低賃金の引き上げが、教育訓練や設備投資を促す可能性がある。>

これに関しては、財団オリジナルのロジックであり、引用論文とは一切関係ない。経済学的には、ある程度のスキルがないと労働者は雇ってもらえないので、教育訓練が多くなる可能性は考えられる。(ただし、この教育訓練が提言のように企業内で行われるとは限らない)これに関してはさらなる理論的根拠と実証研究が求められるだろう。


以上のように、東京財団の提言は最新の研究を反映させた、と言うことはできないし、よって全体として実証的根拠のない主張となっている。自身の主張のために論文の誤った引用が行われていることは非常に残念である。

最低賃金引き上げは企業活動、労働者(就業者・失業者)の行動など多くの変数に影響を与える。「生産性蓄積」という一面だけをことさらにとりあげるのではなく、実証結果を正確に踏まえた幅広い議論が今後発展していくことを期待したい。


補足:
この提言に提言に対する経済学関係者の一連のtwitterでの発言を、
http://togetter.com/li/10218
にまとめた。ここで最後に述べられている大竹・橘木対談 pdf は必読である。

posted by とも at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月26日

[メモ]教育・職業訓練の経済学

引き続き"The Economics of Imperfect Labor Markets"を読み進めています。ch.8のeducation and trainingを読んだメモをまとめます。


・教育も投資の1つなので、政府が補助をするには何らかの「市場の失敗」がないといけない。以下が考えられる
-1.資本市場の不完全性…今お金がなくて学校に通えないが、借りられない
-2.個人のリターン<社会的リターン…教育の外部性が社会的リターンを大きくする
-3.教育の意思決定から結果が出るまでのタイムラグが長い。
-4.ホールドアップ問題
・OJTは雇用保護政策と関係性が深い。保護が強くなるとOJTが増える。
・競争市場では、一般的訓練は労働者が、企業特殊的訓練は企業が費用を負担する。
・しかし、実際は一般的訓練でも企業が負担していることが多い。
→買手独占にあるのではないか。(Accemoglu and Pischke)
・教育効果の実証は個人の能力の効果を排除する必要がある。
(低い能力の人が教育が短く、高い能力の人が長い場合、そのまま推定すると効果を課題評価してしまう)
→しかし、このバイアスは少ないとの実証結果も
・訓練は賃金を上昇させる(企業が費用を負担したときのみ、との結果も)

posted by とも at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月20日

[メモ]最低賃金について:経済学的理論と実証

"The Economics of Imperfect Labor Markets"を読み進めています。今日はch.2の最低賃金のパートを読んでのメモを簡単に記していきます。


<最低賃金の国際比較に関して>
単純比較にはあまり意味がないので、以下のことに留意する必要があります。
・最低賃金/平均賃金、と平均に対する割合を用いる(Kaitz index)。medianでも良い。どちらも一長一短。
・税金の影響を考慮。税金を引いたnetでの最低賃金を考えるのが望ましい。
・最低賃金でカバーできないinformal sectorの割合を考慮。
(・時系列の場合はもちろん物価水準を考慮)


<最低賃金の役割:理論>
・競争市場では最低賃金は失業を増やす。(補足:最近ここが強調されすぎな気がする)
・市場の不完全性がある場合、最低賃金設定により賃金も雇用量も上昇する可能性がある。
-1.企業に独占力がある場合(買手独占)
-2.Job-searchに何らかのコストがかかる場合(採用コスト、サーチコストなど)
 -最低賃金の設定がサーチ努力水準を高め、賃金も雇用量も上昇する可能性がある。
・最低賃金が従業員の教育投資による生産性向上を促す可能性がある。


<最低賃金に関する実証結果>
・企業レベルのデータ:最低賃金は基本的にnegativeな効果。特に若年層で顕著。
・最低賃金の上昇はinformal sectorの賃金を上昇させる。
・自然実験による実証:Card and Kruegerのfast food店における実証。positiveな影響を示唆。論争多し。
・Worker historyを用いた実証:negativeな結果もpositiveな結果も出ている。


posted by とも at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月19日

派遣禁止

派遣禁止がいよいよ具体化しそうですね。来年の通常国会での成立を目指すようです。最近この話題からやや遠ざかっている(マスコミも遠ざかっていると思う)ので、最近の動向はよくわかりませんし、過去いろいろ集めた情報も忘れてしまいましたが、


・登録型派遣と製造業派遣の原則禁止を予定。
・すでに製造業派遣は派遣から請負・直接雇用に移行している。
・が、結局非正規。そもそも派遣禁止→正規社員というルートはほとんどない。
・専門業種(26種)は禁止の対象外だが、それをうまく使えば派遣は使える


といった感じでしょうか。(ソースがなくてすいません)経済学界では派遣禁止反対が多いですが、僕は簡単には言いません。この話はもう少し深く考える必要がありそうな…


中途半端な記事になってしまいました。また、続報や考えることは書きます。
posted by とも at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月10日

範囲を絞る

勉強して思ったのですが、労働経済学という分野は圧倒的に範囲が広いです。結構なんでもありにも見えます。


自分が何に興味あるかは日々考えているところですが、今のところこの3つにまとめられそう。

・Incentive pay,固定給と時給
・労働組合
・長時間労働

3つは相互に関連するところもありますし、全然関係ないこともあります笑 気が乗ったら、このテーマに対しどう考えているかも書きます。

posted by とも at 00:15| Comment(4) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月02日

労働組合の腐敗

12/5号の週刊ダイヤモンドを買った。特集「民主党最大のアキレス腱 労働組合の腐敗」が気になったからだ。


特集らしく、内容は充実だ。民主党と労組の関係、労組の歴史と組織、労働組合の抱える問題、古賀連合会長のインタビュー、などである。


僕にとっては卒論でやったこともあり知っている内容が多かった。(むしろ、卒論を見ているのかと思ったくらいだ)


気になった点をいくつかピックアップする。

・民主党の組織内議員の多さ
組織内議員が一定数いることは知っていたが、予想以上に多かった。なんと議員417人中54人である。多い。また、閣僚にも多い。松下の平野官房長官、トヨタの直嶋経産相は知っていたが、全18人中7人もいる。


・ストライキがないのは悪いことか?
p40では、ストライキが激減したことが批判的に書かれている。(例えば、「労使協調のなれ合いでスト件数はピーク時の100分の1に激減した」など)

しかし、ストは労使双方にかなりの痛みを伴うので、やればいいと言うものではない。むしろ労使交渉がしっかり行えていることの証でもあるかもしれない。

まぁしかしこの辺は「スト資金が余っている」ことを誇張するための表現でもあるから、その点は問題であると言える。

なおこの辺に関してはUnion応援団さんが同様のtweetをしているし、参考にした。


・UIゼンセンの構成
最大の産別組織であるUIゼンセンの組織構成を見て驚いた。もとの繊維産業だけでなく、流通、フード、介護などいろいろ入っている。(産別組織といえるのだろうか…)


その他、「労働貴族」の実態、非正規の組織化などはこの問題を扱う上で押さえておきたいポイントだと思う。


非常に意欲的な特集であった。経済雑誌の特集は、散逸してしまいがちな情報をまとめていただけるので嬉しい。僕としては、民間労組と公務員労組にはいろいろと違いがあるので、その辺ははっきりさせたほうがわかりやすいのでは、と思った。

posted by とも at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月01日

2009流行語大賞

今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。


大賞は「政権交代」。総選挙を引き延ばし引き延ばしての選挙だったので、多くの人の心に残ったことでしょう。


労働関連では、「派遣切り」がトップテン入り。今年に限る、今年に流行った単語なのかどうかは…わかりません。昨年末の派遣村の影響が大きいのでしょうか。


昨年は「名ばかり管理職」「蟹工船」、一昨年は「ネットカフェ難民」、その前は「格差社会」。暗い世相を表す単語が常連となってしまいました。


昨年にも記事を書いているので、そこから自己引用して締めたいと思います。


>言葉が「使い捨て」されているだけで本質が変わらなければ意味はない。この入賞を機に労働問題/貧困問題に目を向けてくれる人がより多くなれば良いのだが。もちろん僕も、がんばらなければならない。

posted by とも at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月18日

労働組合の力

「新規参入は断固阻止!!保育園業界に巣くう利権の闇」なる記事を読んだ。
http://diamond.jp/series/closeup/09_11_21_001/


待機児童問題が騒がれる昨今でさるが、保育園の園長や職員が高待遇で、それを維持するために規制緩和を阻んでいるという内容だ。その中にこんな一節がある。


>加えて、23区の公立認可保育園は共産党系の労働組合の影響が強い。また、全国の他の公立認可保育園は自治労(全日本自治団体労働組合)の影響が強い。


ここにも労組の影響が…。このような話は民主党政権樹立前後にいろいろ出てきた気がする。労組の組織率は20%を切っているが、それでも政治の世界ではまだまだ思っている以上に重要な位置を占めているのではないだろうか。(JALの問題だってそうだ)


卒論では、労働組合に関する論文(というほどすごくもないですが…)を書いた。今後も、労組の問題には関わっていきたい。


posted by とも at 20:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月16日

日経:「領空侵犯」を読む

日経には週1回「領空侵犯」と言うコーナーがある。さまざまな問題に対し、外部の人が改善案を提示するというものだ。外部の人の意見なので、結構過激な意見も多い。


今日は『保育所設置、大企業の義務に』というタイトルでみずほ証券の上野氏が書いている。その構想は良いと思った。(が、そこまで目新しくないとも思った)


問題はその議論の展開の仕方。常に「女性目線」でしか書かれていない。「女性たちは今、矛盾した要求をつきつけられています…」「大手企業には多くの女性が働いています…」といった議論の展開がされている。


そうじゃないのだ。女性に子育てを押し付けて男性が無視してきた結果が、今の状況でもある。少子化の問題は、男性女性に関わらず、日本人全体の「働き方」の問題なのだ。その辺がわからなければ、この問題が解決することはない。


(加えて、「大企業」よりの目線だとも思った。お金がある人・会社の問題を解決しても…)
posted by とも at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月01日

最低賃金の議論

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2009062909627b1

最低賃金の改定論議がスタートするらしい。昨年度は労働側も「1000円を目指す!!」と気合が入っていたように思うが、今年はそうではないようだ。

「最低賃金を上げると影響を受けるのは誰か」というのはしっかり考えてほしいです。最低賃金周辺はバイト・パートが多く、コストが上がれば解雇も容易なのです。

経済学による実証分析の成果が活かされることは、あるのでしょうかねぇ。

posted by とも at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月14日

雇用に関する助成金

広告に政府広報から「雇用対策の拡充」というタイトルものが入っていた。


新しくできたものを中心に、雇用保険・職業訓練・雇用調整助成金などの説明がなされている。


知らなかったのは、「派遣労働者の直接雇用」「年長フリーター・内定取り消し学生の正規雇用」「フリーターの雇用・訓練」に助成金が出ること。(前者2つは中小企業で100万、大企業で50万)


もちろん無駄な補助金は避けるべきであるが、不合理な差別が行われている場合はこうした補助金が効率性を改善できる。例えば、本来職を得る能力がある人が就職氷河期でうまく職を得られず、そのままフリーターなどに留まっている場合だ。


こうした助成金の(真の)成果については知らないことだらけであり、今後調べてみたい。


ただ、内定取消者への助成については少し温情が過ぎるような…。


posted by とも at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月31日

雇用慣行

同級生の多くはもう働いているわけですが、


やはり話してみると、「雇用慣行」というものを変えるのは難しい、企業内で大きな変革というのは起こりえないのかな、と感じます。


雇用慣行の変化は企業内の変化ではなく、企業が増えたり減ったり新陳代謝を繰り返す中で変化していくのかな、と感じます。


posted by とも at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月26日

5/26 ガイアの夜明け

今日のガイアの夜明け(テレ東系)は、若年雇用。内容は内定取消・自宅待機の新入社員・就活支援。



自宅待機に関しては、給料が一部支払われ、アルバイトも可能。待機中の社員の姿は比較的明るく描かれていた。自宅待機とはいえ、「会社に所属している」ということはプラスなのだろう。



就活支援のビジネスモデル。若者に無料で「営業」に関するスキルを(体育会的な感じで)を教え、会社は鍛えた若者が入った企業から紹介料をもらう、というモデル。簡単な職業訓練+職業紹介、といったところ。



全体として、新卒一括採用システムの問題点が多く浮き彫りになる。

・卒業1年半前から就活開始、1年〜半年前に内定
⇒入社時の企業状況とのタイムラグ、就活による人的資本蓄積阻害

・「新卒」と「新卒以外」の差
⇒「新卒」でないと就職に不利(実際の価値は…?)

・「内定者」の取り扱い
⇒曖昧な身分ということで問題である。ただそもそも、(その会社にいる)正社員の解雇規制が厳しいのが問題とも言える。



しかし問題と言えど、企業・学生の自由な活動の結果でもあるので、規制するのはなかなか難しい。硬直化したこのシステムを変えるために、どのようなことが可能なのだろうか。(小手先の問題ではなく、社会の価値観を変える大きな問題なような気がする。)



あと、極端に言うと「正社員でなければおかしい」という価値観が随所に見られる。もうちょっと柔軟になれないものか…。



※まとまってない文ですいません。あと、先日いただいたコメントは明日明後日中に返します!


posted by とも at 22:57| Comment(4) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月01日

労組が会社を支配する?

クライスラー・GMがUAW(全米自動車労組)に求めていた債務削減が合意に至ったようですね。具体的には債務の株式化。


この株式化により、全株式におけるUAWの割合はクライスラーで55%、GMで39%になるとのこと。労組が筆頭に近い大株主になるという大企業では珍しい事態。


労組が会社を経営する。社会主義を想起したり、なぜか日本の戦後まもなくの「生産管理闘争」が思い出された。実際にこうなったら企業経営がどうなるのか、見てみたいものです。まぁ、クライスラーは結局破産法申請のようですし、UAWも株式売却するようなのでこうはならないようですが…


「(産業別)労組が債権を持っている」という事実はいまいちよくわかっていない。退職者年金、医療保険の運用をしているらしいが…。要調査。


posted by とも at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月20日

育休法改正案

NIKKEI NETより

『「3歳未満」残業免除 育休法改正案、育児理由の解雇に罰則』

 厚生労働省は子育て世代の支援を強化する。3歳未満の子どもを持つ親が申請すれば残業を原則免除するほか、就業時間を短縮する短時間勤務制度をすべての企業に義務付ける。育児休業を取った社員を不当に解雇する「育休切り」を実施した企業の罰則も強化。違反勧告に従わない企業名を公表する。仕事と家庭の両立をしやすい環境を整え、少子化に歯止めをかけることを目指す。(以下略)(15日 22:23)



今まで申請しても却下してたのか…とまず思いました。また「申請すれば必ず認める」という内容ですが、「申請」という行為に際しいろいろと抜け道がありそうです。


こうした「義務付け」は一見労働者に優しいように見えますが、企業にとっては現時点からマイナスになるので、「正社員コスト」が増加、逆に雇用を絞ってしまう可能性があります。これはかえって労働者に悪い効果をもたらす可能性があります。


むしろ育休をとった企業に対し何らかの補助金を出すほうが企業にも労働者にも優しく、制度設計としては良いのではないでしょうか。もちろん政府のコストはかかりますが、「義務付け」「罰則」にもコストがかかるということも忘れてはなりません。






posted by とも at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月04日

国内雇用保護

最近いくつかの国で「自国民の雇用保護」のための政策を打ち立てているようです。

国際的な労働移動がどのようになっているかはよくわかりませんが(意外と興味なかったみたいです)、なかなかやりがいのありそうな分野だと感じます。


posted by とも at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月20日

連合の寄付講義

一橋には昨年度から連合の寄附講義というものがあります。労働問題には当時から興味があったので、私も昨年度参加しました。


連合からは高木剛会長初め、古賀伸明事務局長など幹部クラスの方々や、会長選に立候補して破れ有名になった(ただし得票数は予想よりはるかにおおかった)鴨桃代氏などがお話してくださり、力を入れていることが伺えた。


また昨年度は半期の授業であったが、本年度は半期の授業を2回行い、1つは「非正規労働」に焦点を絞るなど連合側の意欲が見られた。


昨今いろいろ悪いことを言われている連合であるが、そもそも大学生は「ロウドウクミアイ」とは何かが(我々社会科学系の学生であっても)ほとんどわかっていない。労働組合の歴史から実際の活動など多岐に渡り話していただき、働くことへの関心を高める「労働教育」の一つの形として、この寄附講義は評価できると思います。


もっともも、社会科学を学ぶ者としては、労働組合の活動については一歩引いて冷静な分析が必要。この寄附講義の良かったところは、大学側の担当教官が労働問題が専門ではなく、かつ労組の役割を(あえてかもしれないが)否定する質問をしてくれたので、より立体的な「労働組合」像が浮かび上がってきたところにあります。


おすすめ授業の1つなので、学部に関わらず履修(またはもぐる)すると良いのではないでしょうか。

posted by とも at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題・労働経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。