2010年09月29日

[読書ノート] ルポ生活保護(2)

先日の記事の続き。

本書より引用してコメントしていく。

「第二のセーフティネットである雇用保険、最後のセーフティネットの生活保護の機能が弱くなると、劣悪な労働条件でも働かざるを得ない非正規社員が増える。すると、正規社員の労働条件の切り下げ、リストラが拡大し、非正規社員がさらに増える。その結果、労働市場が崩壊していく。」(p159)

この記述は一見納得してしまいそうだが、「保護機能弱体→非正規条件悪化」「非正規増加→正規条件悪化・非正規増加」「非正規増加→労働市場崩壊」のどの因果関係も正しいかどうかよくわからない。せっかくここまでで細かいデータや現状を見ているのだから、このようなまとめ方をしてしまうのは、とても勿体無いと思う。

「(釧路市の自立支援プログラムは)06年度から09年度までの4年間で、2455人が参加し、448人が仕事に就き、121人が保護廃止にこぎつけた。」(p170)

就業率は20%程度、保護廃止率は5%程度といったところ。本書ではプログラムの成果を強調しているが、僕には自立支援の難しさを強く印象づけた。

「東京都は2008年度から生活保護家庭の小中学生に直接、塾代を支援している。対象者は区、市によって異なる場合もあるが、上限は小学一年生から中学二年生まで年間10万円、中学三年生は15万円。夏期、冬期講習にも使える。(p206)

僕の価値観では信じがたい制度(特に小学生)なのですが、もはや塾は必要不可欠なものなのでしょうか。公教育の根本的なところを問いたいです。

「本書では生活保護の不正受給問題をあえて取り上げなかった。生活保護に限らず、どこでも、制度を悪用しようとする不届き者がいる。そうした人を厳しくチェックし、排除することはどの制度にあっても当然、必要なことだ。だからといって、その制度や制度利用者を問題視することはおかしい。」(p243)

どこに怒りが向いているのかはわかりませんでしたが、あまり建設的でない姿勢が目につきました。「制度を問題視する」ことは程度の差はあれ、より良い制度設計のために必要なことなのではないでしょうか。(制度の存在を問題視するのはおかしい、くらいの意味なのだとは思いますが)


場当たり的なコメントとなってしまいましたが、感想は以上です。


posted by とも at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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