2010年03月15日

経済学M1の総括:コースワーク計量編

[3/15 1:00頃追記アリ:漸近論について]

<計量経済学>

テキスト
テキストは以下の5冊のうちからセレクトされることになると思います。(阪大はDavidson and Mackinnonだったようですが。)

"Econometric Analysis" Greene
"Econometrics" Hayashi
"Econometric Analysis of Cross Section and Panel Data" Wooldridge
"Econometric Analysis of Panel Data" Baltagi
"Time Series Analysis" Hamilton

GreeneとHayashiがベーシックなテキスト、WooldredgeとBaltagiがミクロ計量・パネル、Hamiltonが時系列のテキストになります。

サブテキストとして次の邦書が有用です。

"計量経済学" 浅野・中村


内容
(注:この先出てくる初級・中級・上級は私なりに定義したものです。)
計量経済学の授業の特徴は、初級→中級→上級(コースワーク)と進むにしたがって、基礎となる事項は数学的レベルを上げて繰り返し学ぶ、という点にあります。具体的には、OLS・OLSEの性質・t検定とF検定・構造変化・不均一分散と系列相関・操作変数法あたりは全てのレベルでこなすことにあります。

計量経済学において中級と上級の差は何か。これは何と言っても漸近論の存在にあります。(ちなみに、初級と中級の差は「行列表記」にあると考えています。)初級・中級の経済学では誤差項を正規分布である、と仮定して話を進めますが、これはやや強い仮定のため、[3/15 1:00頃訂正]上級レベルでは誤差項は一般的なものを想定し、中心極限定理・大数の法則を用いて漸近的な(サンプル数を多くしたときの)統計量の性質を見ていくことになります。(このとき、サンプルの生成過程に独立性などの仮定が入ります)[訂正終]

そして、このおかげで行列計算が非常に煩雑になります。これがn分の1であっちに確率収束して…こっちはるーとn分の1で分布収束して…とかたくさんやります。

こういうわけで、上級の計量経済学は行列と漸近論の計算をひたすらこなしておくことになります。頑張ってください。

トピックとしては上記の基本的な内容及びそれを深化させたものに加え、

最尤法、大標本理論に基づく検定(Wald,LM,LR検定)、モデル選択、SUR、パネル、同時方程式、非線形回帰、GMM、時系列分析の基礎、質的従属変数

などが入ってきます。

コースワークでカバーできない範囲
時間の都合上、基礎的なトピックを満遍なくやることになりますが、計量技術の発展はすさまじいので、現在実際使われている手法を追うのが難しい場合もあります。必要に応じて、上級のトピックをどんどん勉強していきましょう。ミクロ計量では主に質的データ・切断データとパネル、マクロ計量では主に時系列と動学パネルが重要になってくるかと思います(もちろん他にもあると思います)。
また、統計ソフト(Eviews, Stata, Rなど)による演習もおそらく授業では扱わないので、どこかで勉強するのが望ましいです。自分でデータを集めて実際に実証分析を行う訓練ができれば、より良いと思います。論文の元データを落として実際に回してみるのも良いでしょう。

事前にやっておくと良いこと
確率論・統計学の知識は前提とされるので、事前にできるだけしっかりと学んでおいたほうが良いです。また、行列演算をとにかく多用するので慣れておくと良いでしょう。この点、浅野・中村が役立つと思います。

修士専修の学生がとって役立つか?
行列・漸近論を多用するテクニカルな授業なので、あまり役立たないと思います。それよりも、質的データ・パネル・時系列など広いトピックを知っておいたほうがより役立つでしょう。


何か間違いや、補足する点があればコメント・tweetよろしくお願いします。m(_ _)m

posted by とも at 23:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 大学院生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
計量経済学向けの測度論的確率・漸近論の教科書があります
Gallant "An Introduction to Econometric Theory"
http://www.amazon.com/dp/0691016453/
Posted by keimei at 2010年03月23日 05:21
紹介ありがとうございます。図書館にあったら見てみます。
Posted by とも at 2010年03月23日 11:13
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