2010年01月07日

読書:シンデレラがいじめられるほんとうの理由

『シンデレラがいじめられるほんとうの理由』を読みました。著者はマーティン・デイリー、マーゴ・ウィルソンの両氏で、進化生物学的な視点に立つ人間行動研究で知られています。本書を読んだのは学部1年の冬の導入ゼミ(法学部のゼミにもぐりこんだ)にて。


本書は、「継子いじめ」は「『自分の遺伝子を残す』という目的のために、進化生物学的に起こってしまう現象である」という理論を、社会生物学的な視点から主張し、その反論に再反論をする、というものである。


主張の根拠としては
1.生物学研究において観察される「継子殺し」
継親として群れに入った生物が継子を殺す、卵をつぶすという例は多い
殺さない例は、殺す利益が無い、または殺すコストが高いことや、配偶者から今後の生殖機会を伺うためである。決して「愛がある」だけではない。

2.数々のデータ
幼児虐待の危険は継子のほうがはるかに大きい

ということがある。この主張をもって、「継親は親の「役割」がわかっていない」などの主張を退けている。また、「生物は「種の保存」のために生きている」という理論も流れで退けている。


いろいろな学問、特にゲーム理論を学んだ後で見ると、この主張はなんら違和感がなく、当然だと思う。特筆すべきは、この主張が何か受け入れがたいという人が多くいるということだ。「人や動物は合理的でない素晴らしい愛で道溢れている」という信条がそうさせるのであろう。


学問は感情的な批判にさらされることが多い。それは「学問の世界」でも起こることだ。それに対抗するには、緻密な論理と主張の根拠となるデータが必要だ。経済学だけでなく、他の学問にもあることなのだなぁ、ということを思い起こさせる。


※補足1:関連する議論としては、ジェンダー論など性差に関するものがある。これも「男女の差異の存在は一切認めない」という批判にさらされることが多い。

※補足2:シンデレラが「継子いじめ」の話だということは、少なくとも日本ではあまり意識されていないと思う。「かわいそうな子のサクセスストーリー」だろう。
posted by とも at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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