2010年01月07日

読書:アニマルスピリット

『アニマルスピリット』を読みました。著者はどちらも大御所、ジョージ・アカロフとロバート・シラーです。昨年週刊ダイヤモンドのベスト経済書で1位を獲得する、専門家の間でも大変定評のある本です。


昨年流行?した行動経済学本ですが、ほとんどは細かな意思決定バイアス(プロスペクト理論、反証バイアス、アンカリング効果…)についてのものです。この本はそうではなく、大きなくくりの意思決定の性向(アニマルスピリット)から、しかもマクロ経済現象を読み解く、という大変画期的なものです。


アニマルスピリットとしては、安心・公正さ・腐敗と背信・貨幣錯覚・物語の5つが挙げられ、この性向が以下に経済、とくに金融に関する事項(金融政策、インフレ、貯蓄、株式・住宅などの価格変動)に影響を与えていることを見ています。既存の経済学が説明できない部分もよく説明できますよ、ということです。


本書のストーリーは大変説得力があるもので、僕の持つマクロ経済学への疑念がさらに深まってしまいました笑 しかしうまい具合に訳者の山形浩生氏のあとがきが付されていて、本書のストーリーに入り込むことへの一定の留保がなされています。。(既存のマクロ経済学の有用性もちゃんと理解してよ、とのことなど。)特に日本ではそもそも経済学理論に基づく政策運営がなされているかどうか疑わしい面が多い(らしい)ので、まずはそこから始めなければならないことは忘れてはなりません。


いずれにせよ、このような行動経済学的アプローチは今後もより発達して行く可能性が高いので、多くの人に読んで欲しい本です。特に、訳者の言葉を借りると、「既存のマクロ経済学理論の中にどっぷり浸り、それを空気のように当然のようなものと思っている人々」には。


※補足:アニマルスピリットは、「起業家精神」みたいなことだと勝手に思っていた。池田信夫氏の影響?

posted by とも at 02:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

日本だと、だから経済学はダメなんだみたいな発言が増えるだけのような気がするのが残念ですね。アカロフの授業は以前受けましたがとても上品な方でした。
Posted by Rion at 2010年01月07日 04:46
はじめまして!いつもブログ拝見しております。

>経済学はダメなんだみたいな発言が増えるだけのような気がするのが残念ですね。
そうですね。ビジネス書での行動経済学を礼賛し経済学を否定する論調にはうんざりします。

>アカロフの授業は以前受けましたがとても上品な方でした。
ギボンズ・ローウェンシュタインの授業・講演を聞いたことがありますが、彼らも上品で紳士的な方でした。有名な方はみなそうなんですかね〜。

Posted by とも at 2010年01月07日 14:46
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