2010年01月30日

授業メモ0129

昨日で本年度の授業も全て終了となりました。残るはテストのみです。

・労働経済(サーチ理論)
Accemoglu and Shimer(1999)JPEのEfficient Unemployment Insuranceについて。普通に考えると、失業保険は「保険機能(risk-sharing)」と「働くインセンティブを減らし、全体として生産性が落ちる」ことのトレードオフにあるように見えますが、そうではなく、失業保険の上昇がリスクをカバーするとともに生産性も上げる、というモデルです。企業の投資行動がモデルに入っているのが重要なようです。ストーリーとしては

失業保険を上げる

労働者が「失業リスクが高いが生産性の高い仕事」に応募するインセンティブが高まる

企業が投資を増やし、生産性の高い仕事が増える

という流れのようです。非常に興味深いモデルだと思いました。

posted by とも at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月26日

授業メモ0126

・ミクロ
PA理論のHidden information。TAセッションではSignalingの応用をいろいろ。


これで授業は金曜の労経を除きすべて終わりました。あとはテストに突き進むだけ!これまでの反省をいかし、熱く冷静に体調に気をつけてがんばろうと思います!
posted by とも at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月25日

授業メモ0125

・行動経済学
今日はNeuroeconomics(神経経済学)に関する議論について。非常に興味深いので詳しくは後日まとめたいが、極端な対立軸だけ記しておきます。

ニューロ肯定派「神経経済学で経済学の仮定がおかしいことがわかった。経済学は全面的に書き換えられるべき。」

ニューロ否定派「経済学の仮定は、あくまで現実を表すための「モデル」のものであるから、脳科学の知見がどうだろうと関係ない。」

神経経済学に関する議論は、それに対する理解を深めるだけでなく、脳科学との比較を通じて経済学そのものへの理解が深まります。これは、多くの経済学を学ぶ人に理解してほしい重要なこと。

(22:25追記)
23さんに非常に鋭いコメントを紹介していただきました。引用させていただきます!

>T大のK教授が以前セミナーでおっしゃっていたのですが
『ニューロエコノミクスでは経済理論が誤っていることを探求することが主流だが,経済理論が正しいことをニューロでも正しいと証明することも重要である』
…このことは深い示唆があるような気がします。


・マクロ
引き続きNew Keynesian Model。NKPC(New Keynesian Phillips Curve)の導出など。とにかく計算しました、としか言う事ないです。。。

posted by とも at 21:33| Comment(4) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月24日

授業メモ0122など

・労働経済(サーチ理論)
以前やったCompetitive Searchを詳しくやる。Moen(1997)JPEが元。労働者と企業のあいだに競争するsub marketをモデルに組み込む、というものです。


以前twitterで紹介されていた、Behavioural and Experimental Economics (The New Palgrave Economics Collection)をAmazonで注文。期末のレポートに使えるかな…
posted by とも at 22:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月21日

授業メモ0121+計量レポート

・計量
最後の授業。Logit(Probit) modelとTobit modelをパネルに適応したものと、擬似パネル。擬似パネルとは、パネルデータではないが、同じグループ(地域など)に属する人をまとめて、パネルデータとして扱うものです。

授業後はFinal Reportにとりかかる。National Longitudinal Surveysからデータを抽出しまくる。"KEY VARIAVLE"に重要な変数がまとまっていることに気付かず、無駄な苦労をする。

8年分12000人くらいのデータが集まり、計量分析。STATAのメモリが足りなくなり、メモリ割り当てを行う。実証分析はそれなりに上手くいったと思います^^ レポートも一応下記上がり、一安心。
posted by とも at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月20日

授業メモ0119

・ミクロ
今日もPrincipal-Agent Theory。Hidden actionについていろいろやり、Hidden informationにも入った。TAセッションではIshida(2003、下参照)を元にsignalingの例をやった。結婚&再婚市場の話で、離婚率が高い均衡と低い均衡がある複数均衡が生じますよ、という話。

Ishida, J (2003) "The Role of Social Norms in a Model of Marriage and Divorce" Journal of Economic Behavior and Organization


ミクロもマクロも最後に入り厳しくなってきた!あと2週間、がんばろう。マクロはGaliのテキストを借りてきました↓
"Monetary Policy, Inflation, and the Business Cycle: An Introduction to the New Keynesian Framework"
コンパクトで読みやすそう。
posted by とも at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月18日

授業メモ0118

・行動経済学
今日は先生の研究をもとに、Confirmity bias(みんなと一緒の行動をとってしまう)やStatus-quo bias(一度とった行動を変えない)を検討する。Time-inconsistencyがあるような問題を扱う場合、通常のゲームと比較すると一風変わったintra-personal game、つまり自分と自分(過去と将来など)を扱うことがあります。これがなかなかおもしろい。


・マクロ
今日よりNew-Keynesianモデルに突入。家計の問題をごりごり解いて、Calvo-priceing(価格改定の機会が確率的に訪れる)を導入した企業の問題をこれまたごりごり解く。計算がたくさんがあったので要復習です。とりあえずDixit-Stiglitz型の効用の最大化問題を解くのがまだ慣れてません。。。

posted by とも at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Google Analyticsによるアクセス解析:12/17-1/16

Google Analyticsを始めて1ヶ月が経ったので、簡単に記録を残しておく。


2009/12/17-2010/01/16

セッション(訪問数):1866 60.19/day
ページビュー:3340 107.74/day

訪問者、ページビューはこんなぐらい。トラックバックしてみたりした1/7以降はやや増えています。


トラフィックサマリー
ノーリファラー(お気に入りなど) 50.88%
参照サイト(リンクから) 32.84%
検索エンジン 16.28%

お気に入りが半分以上です。常連のみなさん、ありがとうございます。
参照サイトではtwitterが258と最も多いです。twitterの影響力を実感。
検索キーワードでは、「計量経済学 大学院 テキスト」が58がダントツのトップ。早くまとめ記事を書きたいと思っているのですが、なかなか手がつかず、すみません!(あまりテキストを知らないのもありますが…)
他は、「ともの学習帳」「ともの経済学」などが多い。出先からご覧の(?)皆さん、ありがとうございます!


地域別データ
日本が当然多いですが、海外からのアクセスもちらほら。アメリカはかなり多いですが、少数にはカナダ・イギリス・メキシコ・シンガポール・オーストラリア・インド・フランス・ケニア・チェコ・オランダ・ベルギーなど豊富な国々!(北米以外はセッション数1か2ですが笑)


こんな感じでした。今回は少し専門的な記事も残してみましたが、やはり勉強不足なこともあるので、このブログはあくまで(主に今後大学院に入る人向けの)日々の記録とし、広く社会への情報発信という目的はしばらく控えることとします。今後ともよろしくおねがいします!

posted by とも at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | コンピュータ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月15日

授業メモ0114

・エコノメ
Panel Data Analysis。休んだ先週はTwo-way component model(時間効果も入れる)、Serial correlation、Unbalanced panel、IV。今週はDynamic panelということで、過去のデータを操作変数としたり…ということをやりました。レポートもさくさくとやって提出。これで残りは最終レポートになります。


エコノメトリックスを「エコノメ」と略すのはWebで知って、カッコいいからかそれを利用しているわけですが、しっくりきてませんでした。

よくよく考えてみたら、ミクロは「micro+economics」でミクロ、マクロは「macro+economics」でマクロなのだから、「econo+metrics」だったらmetricsを残すべきですよね。エコノメだと「メ」しか反映されてません。ということで今度から元のように「計量」を使うことにします。
posted by とも at 13:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月12日

授業メモ0112

・ミクロ
principal-agent理論の、Hidden actionのとこ。actionが観察可能なケース(ベンチマーク)、risk-neutralなagent(agentにリスクを全て負わせる)、risk-averseなagent(リスクは分担)、と進んでいきました。ちゃんとやったのは3年の冬以来なので、懐かしくなりました。TAセッションは不完備情報下のSequential-Bargaining Game(gibbons)。


寒くて風邪っぽい人が多いようです。僕はちょっと前にひいてまだ治ってません。みなさんも気をつけてください。(ただ、ちょっと風邪くらいのほうが集中力が高まるかも…)

posted by とも at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月11日

続・会社は誰のものか

先日の記事「会社は誰のものか?公開会社法をめぐる議論」の話は下火になってかと思っていたが、まだ続いているようだ。

それでは株式公開企業は形骸化するのみか My Life in MIT Sloan

もう昨年の話であるが、神戸大の加護野教授による12/30の日経教室は、「ドラッカーと経営」をタイトルとしていた。3つのポイントのうち、2つが企業の目的に関するもので、『「企業の目的は利益追求」と決めつけるな』『利益以外の目的掲げ、チェックを怠るな』とある。

筆者は序盤で以下のようにまとめる。
>バブル崩壊以降、投資家志向の会社統治制度の改革が行われ、上場企業の経営者は熱心に利益を追求せざるをえなくなったが、その結果、かえって利益は得られなくなった。利益とは追いかけると逃げていく蜃気楼のようなものと思い知らされた経営者も少なくないだろう。良いことをすれば利益は後からついてくるという基本は、…
要するに利益を求めると利益が得られませんよ、という逆説だ。

またこういう法則が知られているらしい。
>…不思議なことに、利益にとらわれてしまうと見えなくなってしまうものがあるからだ。短期の利益に目を奪われて長期投資や長期の成果に結びつく投資が忘れられてしまうという現象がその典型である。これを経営のグレシャムの法則と呼ぶ。短期の意思決定は長期の意思決定を駆逐するという法則である。

ここまでの言説が正しいかどうかは今すぐ判定できないが、感覚的には十分理解できる。

株式会社の目的は理論的には「主権者である株主利益の最大化」である。これは本文でも暗に示されている。従業員を雇ったり借入を行ったりは、そのための手段に過ぎない。しかしこの「利益」というのは長期的な「利益の合計」の最大化である。近視眼的に利益を最大化をしても、その後の利益が続かなければ意味が無い。しかし人間には「利益を上げよう」と考えるとどうしても短期的になってしまうバイアスを持っている。

ここまでの話を私なりにまとめると、「利益追求はせず、利益以外の目的を掲げる」という目標は、長期的に利益を最大化するためのヒューリスティックスである、となる。「長期的な利益も大切にしなさい」と言うのだとピンとこないので、「利益の最大化は目的とするのはやめなさい」としてしまうのだ。こっちのほうがおそらく実践しやすい。「急がば回れ」という持っと端的な言葉もある。

経済教室では、この言説を補強するために名経営者(松下幸之助、稲森和夫両氏など)の言説が例示されている。「利益追求はしない」と言う目標は、長きに渡り経営学では語り継がれているのだろう。(繰返すが、これは利益最大化のためであると思う。)


話を本題の、株主主権論v.s.ステークホルダー主権論に戻す。このヒューリスティックスを用いて株主主権論を否定するのには、やや無理がある。あくまで経営学は経営者がどうすべきかを示したものであるから、政策担当者の目線とは異なる。政策担当者は経営者以外に株主・従業員など様々なプレーヤーに目を配り、インセンティブ構造を把握して制度設計を行うべきだ。特に従業員主権によって株主の投資意欲が減退することは、大きな問題である。

posted by とも at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月10日

授業メモ0108

少し遅くなってしまいました。

・労働経済(サーチ理論)
Two-Sided Search。2方面からサーチを行う…のですが、いろんなサーチ・モデルが出てきてごちゃごちゃになってしまっています。今度整理しないと…。やったのはBurdett and Wright(1998)とBurdett and Coles(1999)のモデルです。


今日はミクロの最後の宿題を片付けました。いやーでもシグナリング・スクリーニングは面白いですね。実生活は嘘と本音のシグナリング・スクリーニングの集合みたいなもんです。
posted by とも at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月09日

読書:人材マネジメント入門

少し前(行動経済学会のとき)に読んだ『人材マネジメント入門』のレビューをします。著者は人的資源管理論で有名な守島先生。


人事の本として前に『人事経済学』を読みましたが、流れはほぼ同じで、人材の獲得、育成、評価、退職と、人事部が人材のフローの各段階で何を考慮すべきか、ということが書かれています。


しかし内容は大きく異なります。「人事経済学」と比較すると、本書は「人材を尊重する(1章割り当てられてもいる)」「公正性、納得性」を強調しているように見えました。経済学ではすぐには出てこない論点なので、大変興味深かったです。実務遂行においてこの観点が重視すべきだろうことがわかったのと、今後経済学の理論・実証がこの方向にも発展することを求められている、と感じました。両書はぜひとも比較してほしい本です。


経済学とは異なる視点とは言え、本書は極めて理論的に作られており、「こんなこと現実で可能なの?」と思うこともしばしばありました。人材マネジメントを学ぶには、この本をベースとして、ケーススタディや労務管理の実務を学んでいくことになるのだと思います。(今の僕はできなそうだなぁ)


※補足?:前に書いた気もするが、高3〜学部2年半ばまで守島ゼミに入ろうとしていた。変えたのは勘だが、人材マネジメントの視点からは「労働問題」は分析しづらいことが1つの要因である。ただ、実務により近い視点を持つことは重要である。
posted by とも at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月07日

会社は誰のものか?公開会社法をめぐる議論

8日0:00ごろ追記:ny47thさんによるブログ記事がいろいろとまとめてくださっています

民主党の藤末健三氏による公開会社法に対する発言により、ネットでは「会社は誰のものか?」という議論が最近活発になっている。全ての追うことはできないが、関連するリンクをまず貼っておく。


藤末議員の主張
日本を捨てる製造業 2009/05/13
公開会社法 本格論議進む 2010/01/05
株主至上主義との決別 2010/01/07

反論
池田信夫氏
「公開会社法」が日本を滅ぼす
コンセンサス型企業の終焉
青木理音氏
株式至上主義って?
「株式」会社は株主のもの

擁護論
MIT MBAのLilac氏
会社は本当に株主のものか?という疑問に答える本

その他?
加護野忠男氏
民主党政権の試金石「公開会社法」を斬る


ここでなされているのは、大きくは「会社はだれのものか?」という議論である。議論の軸として、大きく「株主主権論」と「ステークホルダー主権論」に分かれる。前者は会社は「株主のもの」という主張であり、後者は株主以外の従業員、債権者、取引先を含む「ステークホルダーのもの」との主張である。


僕は池田氏・青木氏と同様に前者の立場をとる。理由は要約すると、いろんな人に主権を持たせると複雑になるので基本的に契約で対処し(労働法など、それぞれ法律による保護がある)、主権は株主のものに持たせる、ということである。


注意してほしいのは、「主権を与える」ということは権利関係をどう配分させるか、ということであり、「誰を大事に扱うか」ということではない。そこを混同すると話はややこしくなる。誰を大事に扱うかは各会社に委ねれば良いし、その評価は市場(金融市場、労働市場…)が決定してくれるだろう。


少し視点を変えて、なぜステークホルダー主権論が出てくるのかを考える。大抵ステークホルダー主権論は、「従業員に主権を」という意見であることが多い。従業員と企業の間は労働契約が存在するのでそれで十分だと思うが、それ以上の権利(つまり経営参加など)を求める声がこの理論には存在する。


結局この問題も、日本の就職活動は就職ではなく「就社」であり、同じ会社でずっと働き奉仕する、というストーリーの一部であるように思う。日本の労働者は企業と「契約」している、という意識が薄く、企業という「ムラ」に入ったようだ、というのはよく言われることだ。確かに、村民には何か権利がないのはおかしい。


この問題は非常に古く、それこそ株式会社の設立に伴って存在する議論である。現代では、各国のガバナンス形態は様々なので国際比較も興味深い。このブログで書いたことはほんの一部である。経済学からは池田氏も紹介しているTiroleのThe Theory of Corporate Financeが参考になる。コーポレートガバナンスの理論をまとめた1章を読むだけでも十分だ。(というより、私も1章しか読んでいない。ちなみに2章はコーポレートファイナンス)日本語の文献としては、大物経営学者らによる企業とガバナンスがある。


※初めてトラックバックを使ってみた。使い方がおかしかったら教えてください。そしてなんだか緊張する…

posted by とも at 21:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

読書:シンデレラがいじめられるほんとうの理由

『シンデレラがいじめられるほんとうの理由』を読みました。著者はマーティン・デイリー、マーゴ・ウィルソンの両氏で、進化生物学的な視点に立つ人間行動研究で知られています。本書を読んだのは学部1年の冬の導入ゼミ(法学部のゼミにもぐりこんだ)にて。


本書は、「継子いじめ」は「『自分の遺伝子を残す』という目的のために、進化生物学的に起こってしまう現象である」という理論を、社会生物学的な視点から主張し、その反論に再反論をする、というものである。


主張の根拠としては
1.生物学研究において観察される「継子殺し」
継親として群れに入った生物が継子を殺す、卵をつぶすという例は多い
殺さない例は、殺す利益が無い、または殺すコストが高いことや、配偶者から今後の生殖機会を伺うためである。決して「愛がある」だけではない。

2.数々のデータ
幼児虐待の危険は継子のほうがはるかに大きい

ということがある。この主張をもって、「継親は親の「役割」がわかっていない」などの主張を退けている。また、「生物は「種の保存」のために生きている」という理論も流れで退けている。


いろいろな学問、特にゲーム理論を学んだ後で見ると、この主張はなんら違和感がなく、当然だと思う。特筆すべきは、この主張が何か受け入れがたいという人が多くいるということだ。「人や動物は合理的でない素晴らしい愛で道溢れている」という信条がそうさせるのであろう。


学問は感情的な批判にさらされることが多い。それは「学問の世界」でも起こることだ。それに対抗するには、緻密な論理と主張の根拠となるデータが必要だ。経済学だけでなく、他の学問にもあることなのだなぁ、ということを思い起こさせる。


※補足1:関連する議論としては、ジェンダー論など性差に関するものがある。これも「男女の差異の存在は一切認めない」という批判にさらされることが多い。

※補足2:シンデレラが「継子いじめ」の話だということは、少なくとも日本ではあまり意識されていないと思う。「かわいそうな子のサクセスストーリー」だろう。
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読書:アニマルスピリット

『アニマルスピリット』を読みました。著者はどちらも大御所、ジョージ・アカロフとロバート・シラーです。昨年週刊ダイヤモンドのベスト経済書で1位を獲得する、専門家の間でも大変定評のある本です。


昨年流行?した行動経済学本ですが、ほとんどは細かな意思決定バイアス(プロスペクト理論、反証バイアス、アンカリング効果…)についてのものです。この本はそうではなく、大きなくくりの意思決定の性向(アニマルスピリット)から、しかもマクロ経済現象を読み解く、という大変画期的なものです。


アニマルスピリットとしては、安心・公正さ・腐敗と背信・貨幣錯覚・物語の5つが挙げられ、この性向が以下に経済、とくに金融に関する事項(金融政策、インフレ、貯蓄、株式・住宅などの価格変動)に影響を与えていることを見ています。既存の経済学が説明できない部分もよく説明できますよ、ということです。


本書のストーリーは大変説得力があるもので、僕の持つマクロ経済学への疑念がさらに深まってしまいました笑 しかしうまい具合に訳者の山形浩生氏のあとがきが付されていて、本書のストーリーに入り込むことへの一定の留保がなされています。。(既存のマクロ経済学の有用性もちゃんと理解してよ、とのことなど。)特に日本ではそもそも経済学理論に基づく政策運営がなされているかどうか疑わしい面が多い(らしい)ので、まずはそこから始めなければならないことは忘れてはなりません。


いずれにせよ、このような行動経済学的アプローチは今後もより発達して行く可能性が高いので、多くの人に読んで欲しい本です。特に、訳者の言葉を借りると、「既存のマクロ経済学理論の中にどっぷり浸り、それを空気のように当然のようなものと思っている人々」には。


※補足:アニマルスピリットは、「起業家精神」みたいなことだと勝手に思っていた。池田信夫氏の影響?

posted by とも at 02:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月05日

箱根駅伝と「山登り」叩き

今年も箱根駅伝を全部見た。(昨年も全部見ているのだが、卒論を書いていた手前記してなかった。弱い性格である。)そして今年も、柏原選手の活躍により東洋大が優勝した。そんな箱根駅伝であるが、柏原が走った5区山登りの距離を縮めよう、という動きがあるらしい(記事)。5区は長距離ランナーの育成を目的として、2006年に距離が延ばされた経緯がある。


確かに柏原の活躍は記録を見ても異常とも言える。区間2位の選手とは4分以上差がある。最下位とは12分を超える(他の区は長くても6分程度)。ただこの差の大きさのうちどれくらいが柏原の強さなのか、山登りの特性なのかはわからない。2位と最下位も8分差がある。(記録はこちらから


このデータを見れば5区の扱いについて再考する意見が出てくるのはわかる。しかし、まだ駅伝も終わったばかりであるし、感情的な意見のように見られる。今年は柏原のところでしか首位交代が出ていないし、第一東洋がそのままであるし、とにかく目立っていた。


この記事を見て、ホリエモンの逮捕だとか、村上ファンドだとか、出る杭を叩いて日本経済の停滞が作られたことを考えた。スキー(特にジャンプのルール)など、「妬み」がルール変更を生み出した例もある。関東学連には、ぜひ冷静な決定をお願いしたい。私としては、制度変更の成果がどう出るかをもう少し見たほうがいいと思う。順大OBの今井選手の動向などが鍵となるかもしれない。


※補足1
東洋大の強さは柏原だけにあるのではない。7区区間賞の田中、8区区間賞に1秒差の千葉もすごく良い走りであったし、何より全員が区間10位以上という安定感が素晴らしかった。(他校は誰かしらが11位以下とブレーキになる区間がある)

※補足2
しかし、5区6区の山は陸上競技としては異常過ぎるから、本気で世界を目指すならコースの全面見直しが必要だ。ただ、イベントとしておもしろいので私はこれはこれでいいと思う。

※補足3
議論とは関係ないが、復路優勝の駒澤が思っているより強い。復路の区間順位は1,4,3,1,3。ペースを抑えたとはいえ復路2位の東洋と3分半差。柏原的存在がいなくてもこれだけ差はつくのです。

※補足4
いつか箱根で論文書きたいです。
posted by とも at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月04日

新年の計

2009年は学部卒業、大学院入学および実家卒業、一人暮らし開始など激動の1年でした。4月からはとにかく経済学経済学。しかし日経を読み始め、blogやtwitterでの情報収集も徐々に拡大していった1年でした。


2010年はこんな感じでいきたいと思います。


・コースワーク無事終了
気がつけばあと一ヶ月でコースワーク終了。マクロが上手くまとまればなんとかなると思います。昨年の1学期より余裕があります。


・論文をたくさん読む
論文は実際ほとんど読んでない状態ですので、まずは論文をひたすら読むことからスタートです。目標として、100本読む!と言っておきます。長短、英文邦文合わせればいけるのでは?もちろん、重要な論文は「読み方の質」をしっかり保ちます。


・で、修士論文を作る
来年はM2なので、もちろん修論が1つの目標となります。ただ、上の論文読みこなしがまず目標であり、修論はその延長線上なのかな、と思っています。(一橋大学の山重先生のコラムを参考に考えています)


・情報収集
特にtwitterの影響で、やや情報過多になっている感があるので、上手い具合に情報の集め方を修正していけたら、と考えています。具体的には集める情報のジャンルを減らしていく予定。あとななめ読みを活用。


・ブログのスタンス
情報収集をしているといろいろと発信したくなることもありますが、まだしばらくは「日記」程度に抑えておこうと思います。「社会に何かを発信する」にはまだ実力不足ですし、時間もありません。たまに考えがまとまったら書く程度にします。


それでは1年間よろしくおねがいします。
posted by とも at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月01日

あけましておめでとうございます、デザイン変えました。

皆さまあけましておめでとうございます。2010年になりました。10年代の開幕ということで、感慨深いですね。


新年ということで、ブログのデザインも変更してみました。(手元のChromeで変わってないので、変更が半端な人がいたら申し訳ないです)


変更とついでに(一応)実名に移行しました。もともと匿名なのは問題があると思っていたので、これからはより発言に責任を持っていこうと思います。


デザインのさらなる改善や新年の計、新10年の計などやりたいこともありますが、まだ新年寝てないので、これは今夕以降としたいと思います。


それでは本年もよろしくおねがいいたします。
posted by とも at 06:22| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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